同人即売会は人と会わない時代へ BOOTH Festival APOLLO

人と会わない同人即売会」の存在をご存知でしょうか。

決してサークル主に話しかけず黙々と買い専に徹する参加姿勢のことを指しているのではなく、「物理的に参加者同士の顔が見えない同人即売会」が、この広いネットの海には存在するのです。

そのイベントの名は「APOLLO(アポロ)」。ご存知の方には今更な話かもしれません。

僕も第5回からこのイベントにサークル参加しているので、初めて聞いた!という人や、明日開催だから予習したい!という人に向けて「APOLLOの実際のトコロ」をレビューしようと思います。

APOLLOとは?

APOLLOは、数日間限定でネット上で開催する、同人音楽作品(CD等物販・デジタルデータ両方)の即売会イベントです。      -APOLLO公式サイトより引用-

つまり人との交流が主眼の即売会をネットでやろう!という、同人界隈の度肝を抜いた催しです。このもう何でもアリな感じが大変シビれます。

主催はpixivやBoothを運営している「ピクシブ株式会社」。色んな意味でよくお世話になりますね。

Apollo – BOOTH

APOLLOは今回(2018年6月1日〜3日)で8回目を迎え、第4回以降は毎年6月と11月に一回ずつの年2回ペースで開催されています。

一回につき3日間の開催期間中、約1000組に上るサークルによって無料、有料を問わず一斉に作品が頒布されます。目に見えないので想像しにくいですが、出展者の規模だけで言ってもコミケの1ジャンルに匹敵する数ということになります。そうなったら一般参加なんてもう。

 

以下、僕が参加していて感じたことをまとめていきます。

試聴がしやすい

一番の特徴としては、参加作品を連続で試聴できる機能があること

流しっぱなしにしておけば他の作業をしながらでも試聴して回ることができます。

試聴も最初15秒だけorフルのどちらで聴くのかを選択でき、仮に全ての頒布作品を試聴しても15秒設定なら3~4時間で終わります。好みのジャンルだけに絞ればフルで聴いてもそれくらいで済むのがいいですね。

逆に出展側で参加するときは、いかにその15秒で「おっ」と思ってもらうかという工夫が重要になってくるわけです。かと言って黒板を引っ掻く音にしたろ!とかだと悪目立ちするだけなので、サビ頭から始まるように設定する、くらいが無難なところでしょうか。

あとは何より現実の即売会と違って試聴して買わなくても気まずくないので、ゴリゴリに新規開拓が捗ります。

BOOST↑してもらえると嬉しい

これはAPOLLOというよりBoothの機能なのですが、作品購入時に販売金額に上乗せした料金を支払うことができる「BOOST」という機能があります。要は投げ銭による作家応援機能です。

純粋な応援の意味で余計に料金を払ってくれているということなので、一度これをしてもらった作家(僕)はただ静かにディスプレイに向かってお辞儀をすることしかできません。もちろん普通に買ってくれた人に向けたお辞儀でもあります。

自分の創作物に対して他人が身銭を切るという行為をしてくれた」という感動は、創作活動においてとても貴重な体験です。その体験をシステムによって得やすくしてくれているという意味で、とてもクリエイター想いのサービスであると感じます。

APOLLO経由で知ってくれた人が結構リアルイベントにも来てくれる

また出展側の話で恐縮ですが、コミケなどの現実のイベントにAPOLLOで知ってくれた人が会いに来てくれることが結構あります。

APOLLOでは1サークル当たり3作品までしか頒布できないので、載せられなかった旧譜を買いに来てくれた、というような感じの人が今までにもわりといました。

実は僕が毎回APOLLOに参加している一番の理由もコレです。

APOLLOで知ってくれた人はイベント直前の予習で知ったサークルよりも「以前から知ってるサークル」という親近感バイアスがかかるためか、より興味を持ってくれる傾向があるのです。

APOLLOの開催タイミングは6月と11月なので、夏冬の某コミケに出しているサークルならより早い段階から存在をアピールできるのが大きなメリットになります。

作家同士の交流は生まれにくい

個人的に現実の即売会と比較して最も違いがあると感じているのが、この点です。

APOLLOにおいては各作品ごとにページが独立しており、完全に分断されています。

言わばAPOLLOという会場にサークル(作品)と購入者だけの部屋が並んでいるような状態で、「お隣がどういうサークルか?」には良くも悪くも意識が向きません。

さらに第8回から各作品ページに設置されていたコメント機能も廃止されてしまったので、ファンと作家の交流さえもできなくなってしまいました。

APOLLOはあくまで知ってもらうための場であり、交流はTwitterなりでやってほしい……。ということなのかもしれませんが、開催期間中だけ書き込みできるコメント欄があったからこそ、Twitterで絡むのは抵抗がある人でも「その場限り」として交流出来ていた利点が消えてしまったように感じます。

現状のシステムでは単にBoothの作品ページを集めて連続試聴できるようにしただけ、という見方も出来てしまいます。

交流を無くしていくことで現実の即売会との差別化を図っていく、という意図なら仕方ありませんが、個人的にはせめてその作品に対する反応ができる、見られるような仕組みが欲しいなと思うところです。

公開設定を失敗するとヤバい

これは過去、実際に僕がやらかしたことなのですが、APOLLOに作品を出展するには

  • APOLLOにサークルで参加登録をする
  • 頒布したい作品を「公開」設定にする

だけではなく、頒布したい作品に「BOOTH Festival APOLLO」をタグ付けする必要があるのです。

お察しのとおり、このタグを付けなければいけないことを知らなかった僕は

「作品は公開設定にしたし、あとはイベントが始まるのを待つばかりだ」

とのほほんと構えていて、APOLLOが開催されても頒布はされていないことに最後まで気が付かなかったのです。慢心から自国を滅ぼした武将の逸話のようです。

当時「今回は1個も売れなかった……」といっちょ前にショックを受けていましたが当然です。会場に並んでいないのに売れたらアカウントの乗っ取りを疑った方がいいでしょう。

もちろん手順ページをよく読めば回避できたことなので、参加の際は今一度よく確認するのをおすすめします。

おわりに

途中、仕様変更に対する個人的な思いが出てしまった箇所もありましたが、それでもAPOLLOはいいイベントですし、これからも参加していきたいと思っています。

ストリーミングサービスが台頭し、未知の音楽と出会える場はもはや無数にある現代です。

それでも個人が持つ世界観を純粋な形で表現し、共有できる同人の世界は、これからもその役割を変わらず持ち続けていくことだろうと思います。

その世界への入り口の一つであるAPOLLO。楽しむにも楽しませるにも、一度覗いてみてはいかがでしょうか。