録音素材の音質を”後から”向上する「ERA Bundleシリーズ」【レビューまとめ】

ERA Bundle

「録音した素材の音質に不満があるけど、録り直しは色々あって厳しい…」

何らかの形でレコーディングに携わる者は時折、この板挟み的問題に直面することがあります。

クオリティを追求したい気持ちと現実に置かれている状況の狭間で揺れる、クリエイター心。
その気持ちは性別など関係なく、まさしく乙女のそれだと言えるでしょう。

 

この問題を解決する手法はいくつかありますが、個人的にお勧めなのはオーディオを修復して音質の向上を図るというアプローチ。

端的に言えば、「望まないノイズや音割れ、入り込んだ部屋鳴りみたいな音質に関わるエラーを”後から”除去すれば、素材を活かしたままクオリティも追求できるじゃん!」という発想です。

 

記事冒頭からどうかしてしまったのかと思われているような気がしますが、実際にそれが可能なんだから仕方ありません。
具体的に言うなら、accusonusというメーカーからリリースされているERAシリーズと呼ばれるプラグインがそれです。

ERAシリーズは

ERA Bundle
  • Noise Remover(ノイズ除去)
  • De-Clipper(クリップ除去)
  • Reverb Remover(リバーブ除去)
  • Plosive Remover(ポップノイズ除去)
  • Voice Leveler(音量平均化)
  • De-esser(歯擦音除去)

の6つからなり、その全てが一つのノブを回すだけで高品質な修復が行える」という設計のプラグインなのです。

コンセプトだけ聞くとヤバい情報商材みたいなのである程度腹を括って使ってみたのですが、幸いにも実力に偽りはありませんでした。

この記事はERAシリーズについてレビューし、取りまとめていくものです。
実際の音源比較を用意している記事もありますので、手軽なオーディオ修復ツールをお探しの方などは参考にしてみてください。

 

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ERAシリーズの概要

ERAシリーズのプラグインは上記の通り6種類あり、それぞれ個別の録音エラー(ノイズなど)を低減、もしくは除去することが出来るようになっています。

ERA Bundle

そして機能に多少の違いはあれど、基本的には挿してノブを回すだけで効果が出るように設計されている手軽さが大きな特徴です。
オーディオ修復と言えばiZotopeのRXシリーズなんかも有名ですが、こちらは詳細にパラメータを追い込める反面、どうしても気軽に使えるとは言いづらいところがあります。

その点では、ERAシリーズ初心者や、手軽に時短したい人に向いた作りだと言えるでしょう。

各プラグイン個別の詳細については以下の通りです。

 

Noise Remover(ノイズ除去)

オーディオに含まれるノイズ成分を低減、除去してくれます。

ノイズにもエアコンの駆動音やパソコンの電子ノイズなど種類がありますが、その辺りは特に区別せずとも使うことができます。

機能的な特徴としては特定の帯域に処理を集中させることができ、例えば高域に寄ったノイズを狙い撃ちにするような挙動が可能です。

初めて使った時はホントに上の動画そのままの感じで消えたので、深夜に独りテンションが上がってどうしていいか分からなくなった覚えがあります。

結果、その感動はレビューとして記事にぶつけました↓

個人録音のノイズ除去、「ERA Noise Remover」だけでいい説【レビューと使い方】

2019.02.23

 

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De-Clipper(クリップ除去)

クリップ(音割れ)してしまった箇所を修復してくれます。

割れた波形の音量をそのまま下げるのではなく自然な波形に修復してくれるため、小さな音割れ程度ならほとんど目立たないレベルまで持っていくことができます。

De-Clipper独自の特徴として挙げられるのは

  • 処理方式が2種類あるので、ある程度の「素材を選ばない汎用性」を持つ
  • かなりのCPU負荷と引き換えではあるが、処理の品質をさらに上げることも出来る

この2点。

なお、2019年3月現在ではベータ版としてリリースされていますが、特に問題もなく使えているのでどの辺がベータなのかは謎です。

後日、正規版がリリースされました。変更点としては、見た目がカッコよくなっています。

個別記事があります↓

クリップを諦めないで。音割れ修復プラグイン「ERA De-Clipper」【使い方とレビュー】

2019.02.17

 

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Reverb Remover(リバーブ除去)

オーディオに含まれるリバーブ成分のみを低減、除去してくれます。

実音がハッキリ録れている素材であればかなりドライ(反響が少ない状態)にすることが可能です。
ナレーションなどに使うと声の主がどんどんこっちに近づいてくるのでチビりそうになるほど。

宅録における用途としては主に、入り込んだ部屋鳴りを抑えたりするような目的に役立つでしょう。
また素材にもよりますが、購入した音源やサンプルのリバーブが強すぎる時にも力を発揮します。

こちらもNoise Removerと同じ、処理を強く集中させる帯域を指定できる機能があります。

個別記事もあります↓

手軽なリバーブ除去プラグイン「ERA Reverb Remover」【使い方とレビュー】

2019.03.03

 

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Plosive Remover(ポップノイズ除去)

パ行、タ行、ダ行などを発した時に生じる破裂音(ポップノイズ)を緩和してくれます。

処理をNORMALとEXTREMEから選択でき、あまりにポップノイズが酷い場合はより強く処理することができます。処理を行った箇所を視覚的に表示してくれるのも嬉しいポイント。

基本的にボーカルやナレーションをマイク収録する際はポップガードを使用するのがセオリーなため、自分で宅録できる人にはそれほど出番は多くないかもしれません。

ただ、他人から受け取った音声の編集時や、録音の際には気付かなかったポップノイズが入っていた時なんかはまさにコレの出番でしょう。

 

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Voice Leveler(音量平均化)

入力されたオーディオの小さい部分のみを持ち上げることで、全体の音量を平均化してくれます。

ボーカルやナレーションをオケやBGMと合わせる前の下処理としてコレをかましてあげると、ちくちくオートメーションを書く手間が省けてハンパなく時短になります。

搭載されている機能も、

  • 平均化された音量が視覚的に表示される
  • 必要に応じて、平均化しつつもよりハッキリ聴かせることができる
  • 平均化された音量に抑揚を付ける機能がある

など、特徴的なものが他メーカーのプラグインより多い印象です。

また、あまり言及されていませんが生配信でのリアルタイム音量調節に使用すると真価を発揮します。

 

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De-Esser(歯擦音除去)

サ行、ザ行などを発音した時に生じる高域のノイズ(歯擦音)を軽減してくれます。

個人的には効果も機能も、「ものすごく王道」なディエッサーという印象です。剣と魔法とボーイミーツガールレベル。

ただ、そもそもディエッサーというエフェクター自体が音質くらいしか差別化のしようがないものなので、どうしてもこうなるとは思います。

その点このERA De-Esserは一応、効果の適用周波数をざっくり

  • NARROW(狭い)
  • NORMAL(普通)
  • BROAD(広い)

の3つから選択できるようにしてあり、ソースによって処理を合わせることができるのが持ち味と言えるでしょう。
加えて、右下のINTENSEをオンにすることでより強い処理を行えるようにもなっています。

もちろん声素材だけでなく、シンバルやハイハットなどの耳障りな高域を下げる用途にも使えます。

 

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購入時の注意

以上が各プラグインの詳細ですが、もしその中に気に入ったものがあったならば、購入の仕方に注意しましょう。

ERAシリーズの購入方法は、以下の3通りあります。

ERAシリーズの購入方法

(1)単品バラ売り(59ドル / 1つ)

(2)上記6つがセットになったバンドル(ERA4 Bundle Standard / 149ドル)

(3)(2)にERA-DDe-Esser Proを加えた完全セット(ERA4 Bundle Pro / 399ドル)

セール中のDe-Clipperを除いた他5つは全て、1つ59ドル(2019/6現在で約6500円)で価格が統一されているため、単純計算で3つ以上買うなら(2)のバンドルで揃えた方が安く上がります。

なお、そこに

  • ERA-D(ディエッサーとリバーブ除去の複合プラグイン)
  • De-Esser Pro(より細かい設定が可能なディエッサー)

の2つを合わせたものが(3)のERA4 Bundle Proなのですが、もうDe-EsserReverb Removerは無かったことになってしまったんでしょうか。やけに熱いDe-Esser推しも気になります。

もちろん、帯域ごとにかかり具合を変えられたりなど単体プラグインにはない機能はありますが、正直細かい追い込みをするならコレらよりRXシリーズの方が向いているように思います。

値段も399ドルとRX7 Standardが買えるレベルになってしまうため、手軽さを求めてERAシリーズを購入するのであればERA4 Bundle Standardで十分というのが個人的な結論です。

 

用途はゲーム実況やYouTubeにも

ノイズも部屋鳴りも最初から入っていないに越したことはないのはもちろんですが、置かれた環境や機材の関係でそれが叶わないDTMerにとって、「後から問題に対処できる」ERAシリーズは大きな選択肢となります。

個人的にはDTMの枠を飛び越え、例えばゲーム実況やYouTuberのような、声が重要なコンテンツ全般に効果を発揮するプラグインであると感じます。

このERAプラグインが一揃いあるだけで、少なくとも聴きにくい音声になってしまうことは回避できるでしょう。
今は無料のDAWすらある時代なので、普段DTMに馴染みのない人でも導入が可能です。

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2019.02.02

そしてこういうクオリティの底上げをしてくれるツールは得てして早い段階で導入すればするほど後々の結果が大きく開いてくるため、可能な限り早めに入れておきたいもの。

あなたの創作において何かを諦める選択をしてしまう前に、一度試してみるのはいかがでしょう。