明日パワーディストリビューターが届くのでここ数年頭の体操みたいになってる配線が一気に解決するはず
— 1176@ボカロP&DTMブログ (@1176fire) October 15, 2019
そんな背景から、先日ウチのDTM環境にパワーディストリビューターが追加されました。
パワーが一体どうなるのかまるでイメージできない名前に戸惑いますが、実際はただのデカい電源タップなので慌てることはありません。なんか「エビデンス」とか「アジェンダ」と同じ類の感覚を覚えますね。
使用方法も単純で、本体の表裏に10~15口ほど設けられたコンセントの挿し口に各音楽機材を接続し、電源を供給するというだけ。本体自体の電源は普通に壁のコンセントから取ります。
「じゃあ百均で売ってるアレでよくね?」と思うのが人情ですが、そこはやはり曲がりなりにも音楽機材なので、以下のような「音楽制作に特化した仕様」を備えているのです。
- 内部にノイズフィルターが搭載されており、機材の音質が向上する
- 近所に雷が落ちた時、過電流から機材を守ってくれる
- その他、「音楽制作を想定した機能」が付いている
実際、僕もこういった配線整理以上のメリットを感じたので導入を決めた背景があります。
そして使い始めて数か月が経った今現在。結果として期待通りだった所とそうでなかった所があるので、これからの導入を検討されている方に向け、ここにまとめておこうと思います。
なお、可能な限り客観的な事実のみ扱うようにしますが、あくまでも「僕の環境下においてはこうだった」という前提になりますので、予めご承知おきください。
目次
購入したパワーディストリビューターは「AV-P250」
AV-P250の概要
今回、僕が導入したのはTASCAMのAV-P250というモデルです。
かねてよりDTM界隈では定番とされているので選択としてはベタですが、
- 機能、コンセント数に対するコスパが優れている
- 日本国内に修理窓口がある
- 評判がおおむね好評
という圧倒的事実を前に逆張りはできませんでした。
主な機能、特徴としては以下を備えています。
AV-P250の機能
- 3ピンのコンセントを13口装備(前面3、背面10)
- 前面の3口は本体の電源がオフの状態でも常に通電
- 電源ノイズを軽減し、音質を向上するノイズフィルター
- 落雷時の過電流による機材故障を防ぐサージフィルター
- 壁コンセント接続時の極性チェッカー
- 3mの電源コード
各特徴については後ほど触れます。個人的には常時通電のコンセントが3つあるのが地味に決め手になりました。
参考:他モデルとの差異について
TASCAMのAVシリーズはこのP250を含め全部で6種類ありますが、1つは既に生産終了、2つは業務用なので、個人用途ではP25RmkⅢ、P250、P250Sの3種類から選択することになります。
参考として、P250を基準とした時の差異を以下にまとめておきます。
P25RmkⅢの「背面コンセントが全て2ピン」という仕様は、機材側に最初から変換コネクタが付属していることがあるので、人によっては問題にならない場合もあると思います。
しかし中古の機材などには付いていないことも多く、その度に変換を買うのは手間ですし結局高くつくので、僕は候補から外しました。
また、P250Sには「スピーカーやアンプなど、電源が他の機材より先に入ってしまうと『ボンッ』とデカい音が鳴って故障する恐れのある機材」を守るため、コンセントグループを3つに分けて順番に電源を入れてくれる機能があります。切る時は自動で反対の順番になります。
ウチはスピーカーに電源スイッチがあったので不要と判断して安いP250を買いましたが、環境によってはかなり有用な機能になると思われます。
毎回気を付けながら電源を入れていく手間を省ける事を考えると、2万円の価格差分の価値は十分あると言っていいでしょう。
期待通り、もしくはそれ以上だった所
電源の一括管理が可能になった
良い意味で一番変化が大きかったのがコレです。
P250に手持ちの機材の電源を集約しているので、P250本体の電源を入れるだけで全ての機材の電源が入るようになりました。
こういう地味な手間ほど、いざなくなった時の解放感たるや凄まじいものがあります。あとなんか秘密基地みたいでたのしい(小並感)
そしてどうせならと、PCもP250に接続して一括で電源が入るように(BIOSから設定可能)したので時短が止まりません。浮いた時間でソシャゲが捗ります。
配線が整理された
P250を導入する前は普通の電源タップ2つを蛸足にして配線していたのが一つにまとまったので、ラック裏がわりと片付きました。
ビフォーの写真を撮り忘れたので比較ができませんが、ラックの真ん中に設置したことで各機材から延びる電源コードが最短距離になったことが要因のように思います。
前面のコンセントが使いやすい
上でも書いた通り前面の3口は常に通電しているので、スマホの充電や頻繁に抜き差しする機材の電源などに重宝しています。
使っていて思ったのが、コンセントが床ではなく手元付近にあるのが凄く楽だということ。
腕と同じ高さにあるP250に刺せるようになると、椅子の上から床に転がった電源タップに変な体勢で腕を伸ばしていた今までの方が異常だったようにすら思えてきます。
ものぐさを通り越して病人のような感想ですが、コレは導入して初めて良さに気付きました。
残念、もしくは微妙だった所
ノイズフィルターによる高音質化は実感できず
ネット上では「大分音が変わった」みたいな評判を見かけるので少なからず期待していたのですが、残念ながら我が家の環境ではいまいち違いが分からないという結果になりました。
コンセントの極性を変えてみたり、スピーカーのボリュームをフルにしたりして聴き比べてみたものの、音質の変化は殆ど感じられず……。
P250有りと無しとでそれぞれギターを録音し、ここに貼る気も起きない程に全く同じテイクが録れてしまった辺りで考えることを止めました。自分の耳と現実の間で板挟みになったのはこれが初めてです。
個人的にはギターのノイズが減ってくれると嬉しかったのですが、どうやら原因は別の所にあるようです。1つ可能性を潰せたという事で気持ちの折り合いをつけています。
極性チェッカーが微妙な動きを見せる
壁のコンセントに電源を差す時、実は正しい方向というものが存在します。
これを極性といい、間違った方向で刺しているとノイズが発生する原因になったりするので、可能な限り避けたいものなのです。
そこでP250には間違った方向で刺さっている時に光って教えてくれる「極性チェッカー」というものが備わっているのですが、コレがどっちに差しても光ってしまうので戸惑っています。
よく見ると片方は少し光り方が弱いので、多分こっちが正しい方向なんだろうとアタリを付けて使っていますが、「まさか我が家は手抜き施工だったのか……?」と明後日の方向から疑心暗鬼に駆られるようになったので星-1です。
そして残るは過電流防止のサージフィルターですが、
実際に雷を落としてみた
は流石に無理なので、もし万が一、作動するような目に遭った時には結果を追記しておこうと思います。
最後に大切なモノ
「パワーディストリビューター」で検索する人の大半は音質の向上を目的としているように思うので、今回の僕の結果が参考になるかは疑問が残ります。
とはいえ買った張本人からすると、確実に色んな手間がショートカットできるようになったので導入してよかったな、という感覚です。
万が一の保険のようなものですがサージフィルターも付いてますし、もし引っ越しでもしたら今度こそノイズフィルターが真価を発揮するかもしれません。
何より、「電源は一応コレ使ってて~」とプロっぽい会話をカマしてドヤ顔するのは、百均の電源タップでは叶わないことなのですから。