「BFD3は初心者には向かない」。この世界中で愛されているドラム音源は、しばしばそう評されることがあります。
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その理由としてはご存知の通り、セールスポイントである「音作りで出来ることの多さ」が逆に初心者には敷居が高くなってしまっていることにあります。
とりあえずいい音で自分の曲を鳴らしてみたいなぁ、という人にアンビエントマイク8本はなかなかに行き過ぎです。
そういう背景から、初心者には最初から音が作り込まれているAddictive drumsがおススメ、となるわけです。
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が、実はBFD3にも「音作りのプリセット」は存在するのです。
導入当初の違和感
遥か昔、BFD3を導入したばかりの頃の僕には、ある違和感がありました。
高い買い物ではあったけれど、あの憧れのクリエイターさんも使っている有名音源!
有料のドラム音源を購入するのはこれが最後になるんだろうなぁとか言いつつ導入したはいいものの、なんとなくその音が評判通りではないような気がしていたのです。
確かに音質のリアルさは本物さながらですが、オケに混ぜた時のヌケが若干悪いような気がする。あえて悪く言えば、存在感に欠けている。
それにキックやスネアの使いやすいピースが1~2個しかなく、汎用性がすごく低いような…。
まぁ自分で音作りをするのが必須の音源だとネットでも見たし、満足のいく音が出せるように自分のミックスの腕を上げていくしかないか。そう落としどころを見つけました。
それは決して間違いではないのですが、当時の僕は一つ、ある誤解をしていたためにそういう状態に陥っていたのです。
「キット」に対する誤解
典型的なビギナーだった僕はプラグインにマニュアルが付いていることすら知らなかったので、適当にメニューの名前から判断していじっていました。
そのため、「Kits」と書かれたコレがドラムのキットプリセットだろうと考え、読み込んで使っていたわけです。
確かにドラムキットが複数表示され、選択して読み込めば音も出るのですが、実はこの「Kits」のドラムセットは、ジャンルに合わせてピースが組まれている以外は何も手が加えられていないのです。
音量バランスは全て均一で0dbですし、内蔵エフェクトも一切かけられていません。本当に録音したそのままといった状態で、言わば素材の状態に過ぎないのです。
それをそのまま使用していたのですから、それはもうヌケが悪かったことでしょう。当時の音源を聴くとキックが瀕死状態でむしろちょっと面白くなってきます。
「プリセット」による音作りの発見
顧客(僕=初心者)が本当に必要だったもの。それは「Kits」ではなく、その隣の「Presets」の方だったのです。
同じように見えるかもしれませんが、こちらは音量バランスの調整やエフェクトの適用、センドの設定(リバーブ)などがプロの手によって行われた、即戦力のキットになっています。
音を比較してみるとその違いがよく分かります。
「Kits」のドラムセット
「Presets」のドラムセット
どちらも「90s Pop Rock」というセットですが、だいぶ違うのがお分かりでしょうか。
コンプやトランジェントシェイパーが設定されているのでオケに混ぜた時の存在感もありますし、ある程度好みのセットを選んだら、ピース単位でより好みのものに差し替えてあげるだけでいち早く理想に近い音が用意できます。
これに気付くまでは一旦DAWに全てパラアウトし、ピースごとにゼロから音作りをしていたのですが、今は最初にとりあえずプリセットを適用し、それを基準として曲に合わせて適宜調整するようになりました。
自前のプラグインを使いたいピースだけパラアウトするようにしているので、音作りの時間が大幅に短縮されています。
つまり、早まってミックスとかよく分からないうちにBFD3を導入してしまったという初心者の方は、慣れるまではプリセットを使用しておけばHDDの肥やしにならずに済みます。
とりあえずで使いつつ、適用されているエフェクトやピースのパラメータを覗いて参考にすると、ドラムの音作りへの理解が進みますよ。
おわりに
こういう過去の無知を晒す記事があと数回控えていると思うと心がザワつきますが、いかがだったでしょうか。
初心者はAddictive drums、という先人の教えは偉大なものですが、BFD3も上級者でないと一切使えない、というものでは決してないということが伝わっていればいいなと思います。
初心者のうちは何か物差しになるような基準が欲しいもの。
BFD3の場合は、このプリセットが良い方位磁石となってくれることでしょう。
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