Super dolphinとは?出身地は?彼女はいる?代表にインタビューしてみた!

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前回↓の記事で紹介したプロの編曲代行サービス、Super dolphin

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プロの編曲代行サービス「Super dolphin」に凸してみた【アレンジ依頼】

2023.10.02

今回、その仕掛け人である「海保けんたろー」氏に凸することに成功したので、その顛末をインタビューという形でまとめました。

↑の記事は依頼者側の視点に立って書いたもので、こちらはその反対、運営側の視点からSuper dolphinを知る記事となります。両方を合わせて見ることで、このサービスを見極める参考にして頂ければ幸いです。

なお、記事執筆時点でネット上に出ていた情報は僕の方で可能な限り調べ、記事にまとめてあります。なのでインタビュー当日はそこで拾えなかったことや、個人的に気になった部分を中心に質問を行いました。

一回こういうのやってみたかったのでソワソワしましたが、キョドりながら引き出した情報が濃い目に詰まっていますので、ぜひ最後までご覧頂けると嬉しいです。

 

人物紹介

海保けんたろー氏@kentaro_kaiho

Super dolphinの運営元、「ワールドスケープ社」の創設者。(記事執筆時点では取締役)

元々自身もドラマーとしてミュージシャン活動をしており、その経験を活かす形で「IT技術を活用しミュージシャンを支援する会社」としてワールドスケープ社を創設した。

開口一番、僕の声を褒めてくれたので凄く良い人。

Super dolphin 海保けんたろー氏

 

内山氏

今回のインタビューを企画、実現してくれた発起人。

音楽業界での長い経歴を経て、現在は「株式会社もしも」で主に音楽サービスを担当。

その仕事に対する熱量は凄まじく、Zoom会議で一人だけ画面が劇画調に見える。

 

インタビュー

(以下、敬称略)

――「Super dolphin」というチーム名の由来は何でしょうか?

 

海保:基本的には「音の響き」や「覚えやすさ」を念頭に置いた中で出てきたものなんですが、dolphin=イルカというモチーフを使ったのは、「”匿名のチーム”によるサービス」というコンセプトが既にあった中で、①人を連想させない名前→動物 という発想から、②音でコミュニケーションを取る→イルカ という流れで決まりました。

あと匿名のチームと言っても、あまりにも「闇の組織」みたいなイメージになっても困るので、そういう意味でも親しみやすいかなと(笑)

 

内山:公式ページやバナーも青色で統一されていて、とてもオシャレですよね!

 

海保:ありがとうございます。確かに”ブランド感”は意識しているところで、単純に使ってくださるミュージシャンが「ここに依頼するの、なんかダサいな」と思われてしまうものでは良くない、と考えてのデザインになっています。

 

――御社の別サービスである「Frekul」(前回記事参照)も、画面が洗練されている印象を受けました。

 

海保:もちろんサービスですから、「どういう機能があって、どういう利点があるのか?」という点が前提にありますが、それに加えて「ここを使ってることがカッコいい」と思えることも重要だな、という思いがあります。それはミュージシャンとしての感覚が自分のベースにあるからかもしれないですね。

 

本当に良い編曲は依頼者の想像を超えるもの

――では実際のサービス内容についてお聞きします。Super dolphinに依頼する流れの中で、最も依頼者が気になるのはオンライン打合せの部分かと思います。作品のクオリティを左右するこの工程について、実情を教えて頂けますか?

 

海保:具体的な内容という事では、依頼者さんと一緒に挙げて頂いた参考曲を聴きながら、編曲のイメージを具体化する形でヒアリングを行っています。

そこで重要なのは、どれだけ依頼者の希望を齟齬なく汲み取って編曲者に伝えられるか? という点で、ココにこのサービスの価値が集約されていると思っています。なので、このヒアリングという工程にはかなり気を使っていて、現在も継続してブラッシュアップを続けている所です。

例えば、「この質問はマストだよね」とか「質問はこういう順序の方が漏れがないのでは」というような感じで、一定の台本のような形にまとめて行います。

 

――かなり細かいレベルで調整するんですね。

 

海保:そうですね。ココが完璧に近づくほどリテイクも少なくなるので、回を追うごとに社内で検討して改善を施します。もちろん実際のヒアリングは人対人の会話ですから、全てを台本通りに進めるわけではありませんが。

 

内山:あと思ったのが、ヒアリングを行うのが”音楽に精通している担当者”であることで、たとえ依頼者が自分のイメージを上手く言語化できなくても、その要望をある種「翻訳」してくれるような形になっていますよね! そこが凄く良いなと。

 

海保:依頼してくださる方も様々で、「なんとなく盛り上がる感じにしてほしい」という方から「BPMはこれで、キックの音はあの曲のような感じで~」という方まで、完成形のイメージの粒度は人によって違いがあります。

なので特に前者のようなフワッとしたイメージの方には、その「盛り上がる」が具体的にどういうことなのか。事前に送って頂いた参考曲を一緒に聴きながら、その方が求めている”盛り上がり”がピアノのフレーズなのか、コード進行なのか、はたまた他の何かなのか。そこを特定して言語化し、共通認識を持つことを重視していますね。

Super dolphinは音楽初心者の方にもガンガン利用して頂きたいと思っているので、そういった汲み取りは丁寧にやっていきたいと考えています。

 

――確かにそこまで踏み込んで擦り合わせをしてもらえるなら、初心者でも安心感を持って依頼することができますね。

 

海保:ただ、これまでの経験を踏まえて私達が感じていることが1つあって、それは「ガチガチに決めすぎても良くない」ということなんです。

例えば「AメロはこうでBメロはこう、サビはこう」と隅々まで詳細に言語化しすぎてしまうと、編曲家のクリエイティビティを発揮する余地が無くなってしまうんです。せっかく第一線級のセンスを持った編曲家に頼めるのに、依頼者のイメージをただ形にするだけの作業になってしまっては、ちょっと勿体ないですよね。

それに「依頼者のイメージ通りに作られたもの」がその作品にとって本当に100%、最高の編曲なのか、という考え方もあります。それは依頼者さんの想像の範囲内の100%ではあるかもしれませんが、本当に良い編曲はその想像を超えるものを提供するのがベストですし、Super dolphinに在籍しているメンバーはそれが可能な方々です。

もちろん「絶対にこうしたい」という依頼者の要望は大切にしつつ、逆に「この辺りはプロのセンスに任せたい」という部分はどこなのか。そこの線引きも頑張っている感じです。

 

内山:依頼者のニーズと編曲家のセンスを合わせることで、100%ではなく200%で返すという事ですね!(興奮)

 

海保:はい(笑)。それを目指したいですね。

 

普通は依頼できないレベルの凄い人に、個人が安く頼める

――実務的な部分についても、いくつかお伺いします。まず気になったのは「本契約のタイミング」なのですが、打合せが終了したその場で依頼するかどうかの意思決定をする必要があるのでしょうか?

 

海保:いえ、そこについては良心的に(笑)ワンステップを挟んでいます。

打合せが終了しましたら後日、こちらから依頼者さんに文章で議事録をお送りします。その内容を確認して頂いて、問題なければ依頼料を振り込んで頂くことで本契約になる、という流れです。

なので議事録を見て「やっぱりなんか違うなぁ」と思われたら、そこでキャンセルして頂いても全然OKです。キャンセル料も頂きません。

 

――では契約のスタートはあくまで依頼者側のタイミングで決めることができて、それ以降に取りやめたい場合のみ、キャンセル料が発生するということですか?

 

海保:はい、それで間違いありません。

 

――それは企業のサービスとしては凄いことですね。依頼者の視点からすると、担当者に時間を割いてもらった直後にその場で契約の意思表示を求められたら、少し断りづらい心理が働くと思うので。それがないという事は、「とりあえず打合せしてみてもらおうかな」というくらいの気軽な相談もできるわけですもんね。

 

海保:今、言われて初めて「もっとアピールした方が良いな」と思いました(笑)

 

――(笑)。ではキャンセルもなく無事に本契約に進んだとして、次は約2週間前後でラフが送られてきますよね。そこで修正してほしい点があれば「リテイク」を出すことになるわけですが、公式ページには「原則一回まで」と記載があります。これは逆に「一回に収めるのであれば、何個修正点を上げてもOK」という風に取ってもいいのでしょうか?

もちろん現実的な範囲というものはありますし、そもそも大幅なリテイクが起きないようにヒアリングをされているとは思うのですが。

 

海保:そうですね、回答としては「OK」という事になります。

しかし前提として、「依頼者⇔我々⇔編曲家」の間のやり取り、その回数をいかに減らすかが重要な点になります。なのでまず目指すべきは1発OKで、実は過去の事例だと、体感で7割くらいは1発OKなんですね。またリテイク希望が来たとしても、仰る通り大幅なリテイクは未然に防いでいる形なので、そうではない細かい修正点の話になる。

で、その時に修正点についてだけ話すのではなく、「では、それ以外は全てOKですか?」と全体に対して確認を取るようにしています。すると「やっぱりBメロのベースもさらに動いてほしい」みたいな追加の要望が出てくるので、それをできる限り余すことなく引き出し、また文章にまとめる。最終的に「では、ココがこうなってココがこうなれば、あとはOKですね?」というレベルまで詰めて、そこで初めて編曲家にリテイクとして戻します。そこまでやれば、まぁ大体1回のやり取りでOKになりますね。

 

――修正点以外の部分についても一緒に確認を取ることで、「直したいところ」と「もうOKなところ」を切り分け、OK部分に関しては後戻りしないように固める、ということですか。

 

海保:編曲を受けたことがある人は分かると思いますが、何度もリテイクを繰り返していると誰にも正解が分からなくなり、「やっぱり変えたいかも」「やっぱり前の方が良かったかも」といった泥沼にハマりやすくなるんですよね。

そこを防ぐのが我々の存在価値だと思っているので、出来る限り、双方にとって無駄なやり取りが少なくなるように努力しています。

 

――なるほど。依頼者、編曲家ともにメリットがある形だと思いますが、特に編曲家にとってはかなり魅力的に映る部分だと思います。それが200名弱もの応募(前回記事参照)に繋がったのかもしれないですね。

 

海保:当初はこちらから、数人のプロの方に声をかけてスタートしたチームだったんです。

そこにサービスの広報の一環として編曲家の公募も軽い気持ちで出したところ、意外にも200人弱も応募して頂けたので驚きました。中には「あんな有名な曲を手掛けたのか」という人もいたり。

特にそういう方々は匿名性に魅力を感じてくれていて、ブランドイメージや色々なしがらみに囚われず、スキマ時間で案件を受けられるのが良いと思ってもらえているようです。

これは裏を返せば、普通は8万円では依頼できないような凄い人に、しかも個人が依頼できるということになるので、双方にとってメリットのある形を作れたかなと思っています。

 

内山:いや本当にすごい仕組みですよね…! 編曲家も、特に事務所に所属していない個人などは常に仕事が来るわけではないですし、一方で自身のブランドイメージがあるためあまりに仕事を選ばないのも難しい…、という板挟みを見事に解決していて、最初にサービスを知った時は感動しましたよ!(大興奮)

 

海保:ありがとうございます(笑) 熱量が本当に凄いですね(笑)

 

――(笑)。あとお聞きしたいのは、依頼者が提出するデモの「最低要件」について。

公式ページでの条件は「曲のメロディがわかる音源をフルコーラスで」としか書かれていませんが、究極、BPM(テンポ)が一定でなく伴奏も無しの鼻歌だけ、というような音源でも編曲してもらえるのでしょうか?

 

海保:結論としては、それでも可能です。ただ「どこが1拍目か分からない」といったレベルだと流石に作りようがないので、極論、手拍子しながら歌って頂くとかであれば対応は可能だと思います。

 

――どこがAメロでどこがサビなのか、といった曲の構成が分かる形であれば良い、ということですね。

 

海保:はい。あと今のところないですが、あまりに歌が下手過ぎて正しいメロディが分からない、みたいなケースだと難しいかもしれないですね。少し外れている程度なら「こう歌いたかったんだろうな」と想像できるので、少なくともそのくらいのレベルに作って頂く必要はあるかと思います。(デモの形式で)一番多いのはやはり何らかの弾き語りか、簡易的な打ち込みですね。

また変わったところだと、10~20年前に一度リリースしている曲を今風にリメイクしたい、というご依頼もありました。当時は自分たちで編曲してみたけれど、第一線のプロに編曲してもらって生まれ変わらせてみたい、といった形で。

 

――編曲の使い道は何も新曲だけに限らない、と。自作曲の別アレンジを依頼してアルバムに同時収録する、なんて使い方も面白そうです。

あとデモということでは、「コードのイメージの擦り合わせ」が一番大変そうだと個人的には思うのですが、その辺りはいかがでしょう。コードは曲の雰囲気、メロの聴こえ方を左右する重要な要素である一方、依頼者によってはあまり知識を持ち合わせておらずイメージの共有が難しい場合もあるのでは?

 

海保:仰る通りで、先ほどお話しした”台本”にもコードに関する質問の項目を設けたりしているんですが、打合せの上では、要は「(デモの)コードにこだわりがあるのか、無いのか」という部分が焦点になってきます。

自分で付けたコードを絶対に変えて欲しくないのか、逆に編曲家のセンスに一任して良い感じのコードを付けて欲しいのか。さらに細かく、Aメロはイジっていいけどサビはダメ、など色んなパターンがあり得るので、そこをよく聞いて、どういう意思を持ってらっしゃるのかを必ずハッキリさせますね。

 

――なるほど。コード1つ1つを検討するような形ではなくて、コードへのこだわりの有無、というラインで線引きを行っているんですね。

 

海保:それで言うと、例えば普段、ギターの弾き語りで活動しているアーティストさんの場合、あまりに複雑なコードを付けてしまうと押さえるのが大変になってしまう、といったケースもあったりするんです。

なので完成した曲をどう使うのかだったり、普段の活動スタイルといったところまで踏み込んで話を聞くようにしています。ライブでカラオケのように流しながら歌うのか、弾き語りするのか、Spotifyで完成音源としてリリースするのかなど、用途によって目指す完成形も変わってくるので。

それはコードに限らず、編曲全体に言えることですね。

 

「依頼者と編曲家、双方が曲だけに集中できること」がサービス方針の軸

――最後は、サービスそのものに関する質問です。

編曲は一般的に、工数が掛かるアレンジ(楽器数が多い、弦や管を使うなど)になるほど高くなると思いますが、一律88,000円という料金でどこまで依頼者のリクエストをカバーすることができるのでしょうか?

これは極論ですが、例えば「鼻歌をフルオーケストラで」などという依頼は、所謂ムチャ振りの範疇になると思うのですが…。

 

海保:そうですね…。やはり「あまりにも無理があるな」という内容のものは、お断りすることになります。なので逆に言うと、追加料金を頂ければ対応します、という話もしない方針を取っているんですね。

それは値段の交渉が始まってしまうと、せっかく我々がシンプルに整備した料金体系が意味をなさなくなってしまうからで、ならばそうなるようなご依頼は最初から受けない、ということで統一しています。

でもご指摘頂いたようなご依頼も、理論上は可能なんですよね。他にも例えば「30分の曲をアレンジしてください」とか(笑)。それはもう8万円で対応できる範囲を超えているので、お断りするか、「こういう形なら対応できますが」というようなご相談をさせて頂くことになると思います。

ただ現時点(2022年5月末)で実績として数十曲ほどお受けしていますが、今のところそういったご依頼はありません。

 

――やはり「88,000円という価格で実現できる範囲」が現実的な落としどころ、ということですね。当然と言えば当然のお話ですが、それ以上は追加料金で、という交渉も全く行わないと決めている所には独自性を感じます。

 

海保:このサービスそのものが、「我々が間に入ることによって、依頼者と編曲家の双方が曲だけに集中できる環境を整える」というコンセプトから成り立っているので、それ以外の無駄なやり取りをいかに無くすことができるか、という点で一貫している形です。

やり取りを一定のルールという形で決めてしまって、動かさない。そうすることで予期しないトラブルを減らせますし、有り体に言えば、我々が動く工数が減ることで頂くマージンを抑えることにも繋がり、その分を依頼者さんや編曲家さんに料金や報酬という形で還元できるわけです。

特に我々はIT企業なので、そういう「仕組み化」みたいなものは意識してやっているところですね。

 

内山:音楽業界とITってまだまだ結び付きが難しい中で、音楽×ITという形でサービスを成り立たせているのが本当に凄いと僕は思うんです! もう僕が自分で記事を書きたいくらい興奮してますよ!

 

――そろそろ内山さんの熱量も限界に近づいてきたようなので(笑)、まだ始まったばかりのSuper dolphinですが、その今後の展望を最後にお聞きできますでしょうか。

 

海保:色々あるんですが、まずはもっと実績を積みたいですね。今は弾き語り曲の音源化といったご利用が中心ですが、先ほどお話ししたような「過去作のリメイク」だったり「自作曲にプロの技術を」という形など、他にも色んな使い方をして貰えると思っています。そう考えると、まだまだサービス自体が知られていないと感じるので、このブログを読んでいる方を始め、もっとたくさんの方に知って使って頂きたいです。

あと少し引いた視点で言うと、弊社の「Frekul」は音楽家を総合的にサポートするプラットフォームなので、その中の様々なサービスを横断的に使ってくれる方を増やしていきたいというのもありますね。例えば弾き語りで作った曲をSuper dolphinで編曲し、Frekulの配信サービスでサブスクやカラオケに流す…といったような。

そういった様々なサービスで音楽家をもっと豊かにできればという思いがありますし、我々にできることはまだまだ沢山あると思っているので、今後もそうやって色んなサービスで音楽家と我々、双方が幸せになれるような展開をしていきたいですね。

 

編集後記

以上、一時間に及ぶインタビューのまとめでした。

聞いてみたけどよく分かりませんでした!ということも全くなく、真摯にご自身の思いを語られる表情が印象的だった海保氏。やはり使う側と同じ立場を経験している人が作るサービスは動機が強く、熱量が違うなと思います。話し方こそ穏やかでしたが、内山氏のそれにも負けないでしょう。

「自分の曲を任せるならこういう人たちが良いな」と僕はぼんやり感じましたが、貴方はどう感じたでしょうか。もし同じだったなら、嬉しいです。

Super dolphin

プロの編曲代行サービス「Super dolphin」に凸してみた【アレンジ依頼】

2023.10.02

 

ABOUTこの記事をかいた人

当ブログ管理人です。 DTMを10+x年、ひっそりやっています。 記事内容をもっと詳しく知りたくなったら是非、オンラインレッスン↓へどうぞ。