”初めての1台”特化型MIDIキーボード、「MPK mini MK2」【レビュー】

MPK mini MK2
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「MIDI鍵を買っただけなのに」

これは初めて買ったMIDI鍵盤が想定よりデカくて机を買い足すハメになった上、何故かドライバが動作せずDAWから音を出すのに1日かかり、狙ってたヤフオクを逃した当時の僕の気持ちです。

もちろんコレは事前の下調べが雑だったのがいけないのですが、「MIDI鍵盤を買ったはいいけどうまく動かない」問題に初心者がぶつかりがちである、という見解は一般的と言っていいでしょう。

その原因は時に付属のドライバが古いせいだったり、時にケーブルを間違えて接続しているせいだったりと混沌を極め、果たして初心者が自分でスムーズに対処できるかは疑問が残ります。

一応こんな記事も書いているものの、「そもそもリスクそのものが無ければいいのに」というのが誰しも本音だろうとも常々思うところ。

 

そんな折に「白鍵と黒鍵が逆なのがカッコいい」という幼稚園児的動機で買ったMPK mini MK2が、偶然にも初めてのMIDI鍵盤として最適解ではないかと思えるものだったので、今回紹介してみたいと思います。

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MPK mini MK2とは

MIDIパッドの老舗として有名なAKAI社から出ている、打ち込み用MIDIキーボードです。

基本性能はザックリ以下の通り。

基本スペック
  • 鍵盤数:25鍵
  • パッド数:8個
  • 接続:USB-B接続(ケーブル付属)、バスパワー駆動
  • ツマミ:ピッチ&モジュレーション用スティック、アルペジエーター、オクターブ、MIDI CC操作用ノブ
  • サイズ:約 318(横) × 181(縦) × 44(高) mm
  • 重さ:約 750g
  • その他:サスティンペダル(1/4 TS)接続可

全体的な印象としては、1万円前後という価格で鍵盤のみならずパッドやCCコントローラーまで付いているフルセット仕様がまず目を引きます。
バンドマンからトラックメイカーまで死角など無いと言わんばかり。

また、ビート作成ツールとシンセ2種が付属しており、買ってすぐに音出しできる環境が最初から整っているのも初心者ライクと言えるでしょう。

付属するソフト
  • MPC Essentials(DAW無しでの使用も可能なビートメイクソフト)
  • Hybrid 3(1,200種以上のプリセットを持つシンセ)
  • Wobble(ワブルベース生成を得意とするシンセ)

カラーバリエーションは赤、白、黒の3種。

一応、白と黒は数量限定生産とのことなので、「機材は面食い派」という人は在庫に気をつけましょう。

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なお、アマゾンのページだと白を買うとAbleton liveが付いてくる!みたいな記載がありますが、これは誤りなので注意が必要です。

公式ページにもそういう記載はなく、実際に僕は白を買いましたが、付属ソフトは上記の3つでした。
アマゾンの商品紹介すら「嘘を嘘と(ry」が適用される時代とは、何とも恐ろしいものです。

 

いいね!したところ

イイとこ取りの設計、できることの多さ

こうして見ると分かりますが、MPK mini MK2は本体の限界までツマミやボタンがブチ込まれており、1台とは思えないほどできることが多いのです。

MPK mini MK2

鍵盤とパッド両方を備えている

一番のウリとも言える部分ですが、実は数万円~の上位機種ならいざ知らず、この価格帯でそれを実現しているモデルはそう多くないのです。

”初めてのMIDIキーボード”を考えた時にパッドか鍵盤かで悩む人は多いと思いますが、とりあえず安価なMPK mini MK2を導入、両方使ってみて様子を見るみたいな手段も取れるわけで、この機種独自の強みと言えるでしょう。

もちろん「いつも鍵盤で考えていては似通ったフレーズになってしまうから、たまにパッドで作ってみる」といった通常の使い分け目的でも、その優れたコスパ故にお勧めできます。

 

多種多様な機能(ボタン)

制作の端々で助けとなってくれる様々なお役立ち機能が搭載されており、それぞれ1つのボタンに使いやすく集約されています。

各種ボタン
  • アルペジエーターボタン(コードを押さえると自動でフレーズにバラして鳴らしてくれる)
  • タップテンポボタン(曲に合わせて連打するとアルペジエーターの速さを合わせてくれる)
  • フルレベルボタン(オンにすると常にベロシティ(強弱)がMAXになる。EDM系ドラムの打ち込みなどに便利)
  • リピートボタン(押している間、入力した音を連打する。刻みのハイハット入力などが楽になる)
  • プログラム切替ボタン(各パッドやツマミの設定を最大4つまで保持でき、任意に切り替えられる)

後述するCCノブと組み合わせることで、音作りとフレーズ作りを同時進行しながら録音するなんてことも可能になります。忙しい朝にピッタリですね。

 

CCノブでリアルタイムに数値変更ができる

全部で8つ付いているこの意味深なノブ。

MPK mini MK2

これらはいわゆるMIDIコントローラーで、1つ1つにシンセやプラグインの数値をアサイン(割り当て)することで、グリグリ回して変化させることが可能になっています。

実際にノブを回して操作しているところです。マウスが動いていないのに数値が上下しているのが分かるかと思います。

特にシンセなんかはフレーズを弾きながらリアルタイムに音色をイジれてスマートですね。サビ前でフィルターを開け閉めしてるだけで気が付けば夕方です。

なお、このCCノブを始め、MPK mini MK2上の全てのパラメーターは「MPK mini MK2 エディター」という専用ソフトで一括管理できます。

MPK mini MK2 エディター

よく使うドラム音源やサンプラー、シンセなどに設定を最適化したら、本体にプリセットとして保存しておけばいつでもボタン一つで呼び出しOK。

またソフト自体も軽く、ノートPCでも余裕で動作するのが尊いポイントです。

 

配線、設定の単純さ

↓はMPK mini MK2の付属物一式ですが、ご覧の通り配線がUSBケーブル1本のみなので逆に間違えようがない、という状態になっています。

MPK mini MK2 一式

そして何よりビビるのが、「ドライバのインストールが不要である」という点。耳を疑いますが、公式サイトにもそう表記されています。

実際、Win機では繋いでDAW側の入出力指定をしただけで使えましたし、Macbook(ガレバン)に至っては設定すら必要ありませんでした。
マジで繋いだだけで音が出たので、逆に何か変なモノを見ているような気にすらなったほどです。

何かとトラブルの芽になりやすいドライバとはいえ、いくら何でも排除できるとは思いませんでした。それでも涼しい顔して動作している様が何とも不気味です。

他に気を付ける箇所などもう、給電可能なUSBポートに差すとかその程度しかなく、ここまで簡素にされては流石に初心者ファーストであると認めざるを得ないように思います。

 

取り回しのしやすいサイズ感

煙草を吸わないので比較対象がコレしかありませんでしたが、MPK mini MK2片手で持ち運べるサイズ&重量なのも明確な強みなのです。

MPK mini MK2 サイズ

ノートパソコンとコレ、そこにヘッドホンを付けても、外出時に負担となるような重量にはならないでしょう。夢にまで見たスタバDTMerの爆誕です。

ちなみに僕はカッコ良く作業してる雰囲気に酔ってしまうタイプなので、カフェではなく、もっぱら実家に帰省した時用の入力ツールとして持ち歩くことが多いです。

作業してると「ミュージシャンにでもなるんか」と母親に煽られますが、便利なので買って良かったなと思っています。

 

留意すべきところ

やはりリアルタイム録音には向かない

元からピアノが弾けたりする場合、リアルタイム録音したさにMIDI鍵を買う人もいると思いますが、25鍵と少なく、鍵盤そのものも小さいMPK mini MK2では少し厳しいです。

メロディやドラムパターン、単発のコード等なら普通に同時入力も可能ですが、「ピアノの伴奏を両手でリアルタイムに弾く」とかには明らかに向きません。

あくまで演奏用ではなく打ち込み用機材として割り切るか、外出専用機にするなど明確な目的を持って導入するのが望ましいでしょう。

 

パッドでは強弱が付けづらい

パッド部もベロシティに対応しているのですが、何というか「押した感じ」が希薄な造りであるため、思ったように強弱が付けられないという印象です。

押すと光る

個人的な見解ではありますが、パッド部はフルレベルボタンを使ってEDM系のドラムなどを入力するために使い、生ドラム等の強弱を付けたい入力は鍵盤を使用した方が良いと思います。

 

単体で音は出せない

MPK mini MK2単体では音が出せず、使用には必ずパソコンとの接続が必要なので注意が必要です。

そこを欲する場合は、スピーカー付きで電池駆動が可能なMPK mini playの方がニーズに合っているでしょう。

 

音楽を鍵盤で捉える、ということ

DTMerの第二次性徴と言っても過言ではない、MIDIキーボードの導入。

それほどに、マウスポチポチから卒業したあの時の衝撃は大きいものだったのです。多分、初めて火を手にした人類と同じ目をしていた事でしょう。

作業効率の追求、などと言えば聞こえはいいですが何のことはありません。鍵盤を押したら色んな音が出る。ただ単に、単純なその事実に心が躍ってしまうというだけのことなのかもしれません。

しかし真面目な話、早いうちに音楽を鍵盤で捉えることができるようになっておくというのは、間違いなく今後のプラスになるはずです。

コードやスケールといった音楽理論も理解しやすくなりますし、MIDIキーボードにはただの入力ツールとして以上のメリットがあることを知っておいて貰えたらと思います。

ABOUTこの記事をかいた人

当ブログ管理人です。 DTMを10+x年、ひっそりやっています。 記事内容をもっと詳しく知りたくなったら是非、オンラインレッスン↓へどうぞ。