DTMが「難しい」と思う時は”目先の楽しみ”を重視すべき【考えすぎが挫折を生む】

DTM 難しい 挫折
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時たま、SNSや知恵袋で「DTMが難しすぎて挫折した」という投稿を目にすることがあります。主に趣味として始めようとして力尽きた、という文脈で書かれていることが多いです。

実際、もう10年以上やってる僕も未だに「DTMは難しい」と感じる機会は絶えないのでそりゃそうかと思いつつ、「では何故自分は初心者の時に挫折しなかったのか?」を考えてみたところ、その要因としてある1つの仮説に行き着きました。

もちろん、当時は新生児並みに何も考えていなかったので「”今客観的に思い返すと”それが要因だったと言える」という話になりますが、僕がDTMを始めた頃の精神状態を鑑み、挫折しない方法を考えた時の結論としては

「楽しくないことはすべきでない」

というものになります。

楽しくないことはすべきでない

なぜDTMを挫折してしまうのか?という設問に一番多い答えは、「やるべきことが多すぎるから」というものでしょう。

DTMと一口に言ってもその作業は作曲からミックスまで多岐に渡り、これらを1人でやらなければならないという負荷に慣れていない初心者は耐えられず挫折する、とする論調です。

しかし僕が自分の経験を振り返る限り、「血の滲むような学習によって壁を乗り越え、知識や技術をマスターした末、遂に作曲できるようになった」みたいなエピソードが全くありません。ノイズみたいなギターを録音して遊んでた記憶しか出てこなくて逆に怖いくらいです。

ではなぜ……と、深まり続ける謎を考えているうちに辿り着いたのが、「挫折してしまうのはDTMで遊んでいないから説」でした。

DTMを始める動機として一番多いのは「プロと同じクオリティの曲を自分で作ること」だと思っているのですが、これを達成するのに必要なものは何ですか、とGoogle先生に尋ねたときに返って来る答えは

プロクオリティの曲を作るのに必要なもの

  • 作曲の知識
  • 作詞の知識
  • 編曲の知識
  • DAWの導入、操作方法の知識
  • エフェクターの知識
  • 機材の知識
  • ミックス、マスタリングの知識
  • オーディオに関する知識

などなど……とこうなり、「これがDTMを始めるのに必要なものである」と認識してしまうことでこれらを「乗り越えるべき壁」と感じ、その多さに挫折してしまうのではないでしょうか。

しかしすぐ上で書いている通り、これは「プロクオリティの曲を作るのに必要なもの」であって「DTMを始めるのに必要なもの」ではありません。

ここがすり替わってしまうことで、DTMは楽しいものから努力が必要な苦しみを伴うものへと認識が変わってしまうのだと思うのです。でも僕もこの口なので、気持ちは狂おしいほど分かります。

だとすれば、挫折しないために必要なことは明白です。

「DTMの中で楽しく思えるもの”だけ”をやって遊ぶ」のです。

 

DTMであそぼ!

煽りみたいな見出しで恐縮ですが、至って真面目な話なので怒らないでください。

遊ぶ=楽しいことだけやる

要するに、難しいことを考える前にDTMの楽しさを十分に体験すれば「飽きる(やる必要がなくなる)」ことはあっても「挫折する(やりたいけど出来ない)」ことは防げる、というやり方なわけです。

例を挙げるなら、

  • オリジナルの鼻歌メロディを打ち込んで遊ぶ
  • 適当にコードを2つ並べてオリジナルの進行を作って遊ぶ
  • DAW上で、現実には持っていない楽器の音を鳴らして遊ぶ
  • ギターやベース、ボーカルを録音して遊ぶ

といった、「出来そう、楽しそう」と思うこと”だけ”をやって遊んで楽しむことを初心者は最優先にすべきです。

理論とかノウハウとか、面倒そうなことは一旦全て見なかったことにしましょう。もちろん、逆に楽しそうだと思うならどんどん触れてみるのをお勧めします。

また、DAWの導入に手こずるならDominoから始めてみるなど、とことんハードルを下げることも大切です。
その辺りの補助になるようにと書いた記事もあるので、良ければ併せて見てみてください。

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2023.09.30

ちなみに僕がDTMを始めたくらいの時は、

  • ギターで2小節くらいの謎のフレーズらしきモノをひたすら録音して喜ぶ
  • 偶然出来た2秒に満たないコード進行を「オリジナルの進行を作った」と思い込み、悦に浸る
  • ドラム音源でツーバスを30小節くらい鳴らして喜ぶ

みたいな感じで遊んでいました。あまりの微笑ましいエピソードにいっそ溶けて無くなりたいような気持ちです。

内容はともかく、僕の経験則から言っても「楽しいから続ける」という状況が作れれば、挫折する確率は大きく下がるように思います。

プロを目指すにしても、結局楽しむことが大事

「でも自分はプロへの最短距離を進みたいので、楽しむよりも最初から知識を身につけた方が良い気がする」

というお便りを頂きそうな気がしたのでご紹介したいのが、以下のツイートです。

これによると、プロになるには相応の練習量(漫画では1万時間)が必要になり、それをこなす為に対象を好きになる必要がある、ということになります。

もちろん、上達の過程では苦しく感じるようなこともあると思います。
しかし少なくとも、音楽を仕事にしているプロも最初に楽しいという体験があったから続けられていたはずで、始めた時からずっと楽しくないけど音楽で食うために我慢して練習してきました!みたいな謎の生い立ちの人は多分いないでしょう。

とはいえ「知識を学ぶこと自体が楽しい」という場合もあると思うので、あくまで学習に挫折しそうになったら楽しむことに目を向けてみるといい、くらいに捉えておいて貰えればと思います。

 

楽しいことだけやっている人を次のステージへ押し上げてくれるのは「欲」である

そうは言っても、「自己流で楽しくやっているだけでは幅が出ないし永遠に同じクオリティのままになりそう」という心配はもっともです。

また経験の話で恐縮なのですが、僕の時はずっと遊びで似たようなことをやっていると、段々と「もっとこうなればいいのに」みたいな欲が出てくることがとても多くありました。

例えば、

欲の一例

  • ギターを録音するのは楽しいけど、プロと比べるとハエみたいな音なので良くしたい
  • コード進行を作るのは楽しいけど、2小節とかではなくワンコーラス分を通して作ってみたい
  • ドラムを打ち込むのは楽しいけど、プロと比べて迫力がないので強くしたい

こういった欲です。

そして欲とはすなわち「願い」であり、その願いを叶えてくれる手段が

願いを叶えてくれる手段
  • 機材の知識
  • 作曲の知識
  • エフェクターの知識

これらの「難しそう」と思っていた知識やツールなのです。

本来、知識やツールというものは誰かの願いを叶える為に生み出されるものだったりします。

乗り越えるべき壁と感じていた知識やツールが「実は自分の願いを叶えてくれる手段だったのだ」と気付く事が出来れば、課題から味方へと見方が変わります。

また、この「願いが叶う」というモチベーションは強烈で、ある程度の導入、理解の難しさは乗り越えようという気になります。本当に欲しいものは遠くて行列に並ぶとしても買いに行くのと、根源的に同じ感情です。

 

DTMは友達

ちょっと煩雑になったので、もう一度まとめます。

挫折を防いで成長していくモデルケース
  1. DTMで最初は出来そうな事だけして遊び、好きになる
  2. 好きになったら欲をかく
  3. 欲をモチベーションに、願いを叶えてくれそうな知識やツールに手を伸ばす

これが、挫折を防ぎつつ成長していくモデルケースの1つです。

もちろん、これで挫折の全てのケースを網羅できるなどとは思っていません。自分の経験をもとに、1つのケースへの対処法を考えてみたという程度の事です。

しかし自分がDTMを楽しくやってこれたのは先達の情報のおかげなので、僕も今まさにDTMに挫折しそうな人へ、1つの選択肢を提供できればと思います。

何事も初めてやることは不安が付き物ですが、DTMは究極「いろんなおとがでてたのしい」くらいに思えていればそれで問題ない趣味なのです。是非、あなただけのDTMとの付き合い方を見つけてみてください。

4 件のコメント

  • まさに私自身の長年の悩みです。
    DAWだと何でもできるので逆に何をどうすればいいのか堂々巡りになってしまいますよね。
    こちらの記事を読んで少し楽になりました。
    今日、Scaler2を買ったので、楽しまくりながらDTMライフを楽しみたいと思います。

    • 作曲という行為が創作である以上、何かしら楽しみがあって初めて続くのではないかと僕は思います。
      それは仮にお金が発生する場面であったとしても「クライアントの要望をどう実現するか」を楽しむなど、形は違えど常に必要なことには変わりないように感じます。
      特に歴が長くなると見失いがちですが、数ある表現方法の中でなぜ音楽なのか? それは好きだから。という根本を常に思い出すようにしたいですね。

  • たまたま記事を拝見しまして実に興味深く読ませていただきました。
    本題とはそれる内容ですが私も今で言うところのDTMerの端くれです。現在50代ですが私のルーツは今ではあまり聞かなくなりましたが”自宅録音”、カセット4チャンネルMTRとかの時代です。DAWといったものはそもそも存在すらしていない時代です。つまり楽器を演奏できたり歌を歌える人がなせる技でした。私は楽器の演奏も歌もできませんでしたので80年代、MIDIが登場し、シーケンサーが登場した時には演奏ができなくとも”一人で音楽を形にできる”喜びに狂喜乱舞でした。気がつけばいつも朝でした。そのうち自分の作った音でお金をもらえるようになり”遊び”が”欲”になりどんどんのめり込んでいきました。いつしかアレンジを職業にするまでになりましたが今では自宅で完結できるテクノロジー・環境があり夢のようです。とりとめのない昔話、失礼しました。

    • 記事をご覧頂いてありがとうございます。
      僕など比べるべくもないほどの先輩かつプロの方に読んで頂いたとのことで、鏡に囲まれた蛙的心境になっております……!
      僕は作曲と共にDAWがあった世代ですが、だからこそ「音楽は本来、DAWがなくても作れるし楽しめるもの」ということをつい忘れがちであるようにも感じます。
      機材レビューなど書いていてなんですが、便利な道具がなければモチベーションが保てないという本末転倒にならないよう日々、音楽への強い情熱を持った先達の方々に学ばせて頂いているところです。

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    当ブログ管理人です。 DTMを10+x年、ひっそりやっています。 記事内容をもっと詳しく知りたくなったら是非、オンラインレッスン↓へどうぞ。