コード進行を「翻訳」するとパターンが理解できる【雑記】

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「大好きなあの曲の成り立ちが知りたい!」そんな素直な気持ちから「曲名 コード進行」でググった僕らを待ち受けていたのは、以下のような謎の文字列でした。

いやまぁコード進行なのはわかりますが、悲しいことに一つも頭に入ってきません。

一つ一つ確認しながらギターやピアノで弾いてはみるものの、どうしてこんなに美しい進行が作れるのかがひたすらに謎。どんな頭をしてたらB♭7-9を使おう!と思えるのか。やはりプロはオギャーと声を上げたその時からプロなのだということなのでしょうか。

 

いえ、決してそうではありません。

 

複雑なコード進行が理解しにくいのは、それが自分に馴染みのない文法で書かれた文章=外国語だからです。

複雑なコード進行を理解するたった一つの冴えたやり方。それは「コード進行を翻訳」することなのです。

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コード進行を日本語(key=C/Am)に翻訳する

方法論は至極単純なものです。

 

複雑だと感じるコード進行を、一度全てkey=C(マイナーキーならAm)にトランスポーズ(移調)するだけです。

 

つまりコレを、

こうするだけです。

 

ただそれだけのはずなのに、いかがでしょう。とてもわかりやすくありませんか?

 

(※上記の進行はマイナーキーですが、便宜上メジャーキー(key=C)のディグリーネームで解説します)

前半の4小節はⅡm→Ⅴ7→Ⅲm→Ⅵmというごく普通の進行に、それぞれ使用できるテンションが装飾されているだけだとわかります。

後半のDm9、E7♭9も同様(Ⅱm→Ⅲ7+テンション)で、その後の4つはⅥm7から半音ずつ下がっていき、最後にⅠで落ち着く進行だと理解できます。

 

 

移調する前はモヤがかかったように理解しにくかったコード進行も、自分の馴染みのあるキーに置き換えれば何が起きているのかわかるのです。その進行にどんな仕掛けが施されているかを認識できれば、それが「コード進行のパターン」として自分の中に蓄積されていきます。確実に何かを持ち帰ることができる、実のある分析ができるのです。

 

また、このやり方を試すにあたってはchordwikiを使うのがおススメです。コード進行のページを開くと右上に好きなキーへ移調して表示できる機能が付いているので楽ですよ。

 

このやり方のいいところ→コード進行から作曲しやすくなる

「キーが変わってもコードの機能は変わらない」というのは音楽理論の解説でよく目にする性質ですが、それを体感したことがあるかどうかでコード進行に対する理解力は大きく異なります。

その体験を意識的に行うことができる方法論が、上記の翻訳転調なのです。

ちなみに、この性質を言外に示しているのがいわゆるディグリーネーム(Ⅱm、Ⅴ7などのローマ数字表記)という表記方法だったりします。

 

そうして進行の中のコードを機能で捉えることができるようになると、こういった書籍が突如光り輝いて見えてくるのです。

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実を言うとどっちも昔買って一度も活かせることなく本棚の肥やしにしていた本なのですが、コードの機能を理解して以降、作曲の際にいつも手元に置いておくまでになりました。

当時、早まってアマゾンレビューで☆1を連打しなくてよかったです。

 

注意点

一つだけ注意としては、この方法が効果的なのはある程度コードの知識を持っているが、既存のコード進行を理解するのが難しいと感じている人である点です。

ディグリーネームって何?という完全な初心者の場合は、まず基本的なコードの知識を持つ必要があります。

ググって幅広く知識を集めるか、これと決めた書籍で深く理解するか。どちらでもいいと思います。一応参考程度ですが、僕がズブの初心者だった時に見ていた本が半端なく強いものだったのでお示ししておきます。

この本は発行こそ少し前ですが、今見返しても異常なわかりやすさを誇ります。色褪せない。

エロ本以外に「お世話になった」と言える本はこれだけです。もし今後音楽に関する記憶が消えてしまった時は、もう一度この本を買うと思います。

この、専用のレビュー記事を書くほどの入れ込みようが伝わるでしょうか。

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補足とおわりに

key=C/AmはDTMerというか音楽家にとって一番馴染みの深いキーなので、その文法に訳してあげれば理解しやすい、という単純な発想です。なにせドレミファソラシドですから。

また、この方法での分析を続けているとC以外のキーにも馴染んできて、いずれ移調する必要もなくなります。

移調前のキーを見た時に、なんとなく「A♭とB♭がよく出てくるキーがあるな」みたいなイメージが付いてきたら、それがE♭というキーであることを知る日はそう遠くはないでしょう。

 

上級者の方にはもうご承知の内容だったかもしれませんが、僕がこれに初めて気づいたときは結構感動したものです。

個人的にブレイクスルーポイントだったと感じているその当時の気付きを文字に起こした今回の記事。今もどこかにいる「昔の僕」にとって役に立つものであればいいなと願うばかりです。

 

ABOUTこの記事をかいた人

当ブログ管理人です。 DTMを10+x年、ひっそりやっています。 記事内容をもっと詳しく知りたくなったら是非、オンラインレッスン↓へどうぞ。