たまに早く起きて散歩しているとき。
VTuberとか見ながらなんとなくギターを弾いているとき。
友達と話していてふと鼻毛が覗いているのに気付いたとき。
フレーズは突然に降りてくるのです。落雷のエフェクトがまぶたにチラつきます。
すぐさまボイスメモに吹き込み、家に帰ってDAWに打ち込みます。
「おいおい天才か……?」そうひとりごちるほど、独創的なメロディ。いえ、これだけキャッチーならリフにしても成立するかもしれません。
1%のひらめきは既に得た。あとは99%の努力によって曲にするだけ……。そう考え、ニヤニヤしながらMIDI鍵盤に向かうこと5時間。
そのメロディを最大限活かせるコード進行が思いつかないまま、時だけが過ぎていきました。
リフにするにしてもその先の展開が出てこず、謎のイントロのようなものが8小節できただけ。
ダメだ、アイディアが尖りすぎて上手くまとまらない。一旦寝かせてまた今度考えよう…。
そうして保存された「neta_0098.wav」もまた、深いフォルダ階層の底へと沈んでいくのでした。
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この∞回続くと思われた不毛なループに終止符を打ったのは、Plugin Boutique社よりリリースされたあるコードアシスタントプラグインでした。
その名は「Scaler(スケーラー)」。
その場で最適なコードやスケールを提案してくれるプラグイン2.0。その実力をご紹介します。
Scalerの価格はこちら
※2年くらいしてScaler 2が出ました↓
Plugin Boutique「Scaler」とは
一言で言うと、コード進行の作成を手助けしてくれるアシスタントプラグインです。
自分で一から進行を作る時に役立つ機能がこれでもか!と搭載されています。「一から作るのは面倒くさい」という人には、キーやジャンルを選択するとプリセットから条件に合致するコード進行を表示してくれる機能なんかもあります。
開発は前述のとおりPlugin Boutique社。関係ないけどブティックって字面も意味もカッコよくていいですね。
なお、詳しい操作方法はこのsleepfreaksさんの動画に分かりやすくまとめられています。そろそろなんか賞とか受賞すればいいのに。
自分で書いたら5000文字を超えて見づらい上に、ただこの動画を書き起こしただけみたいな感じになったので躊躇しつつも省きました。何故書く前に気付かなかったのかは今でも謎です。
※追記
この記事を書いてからだいぶ経っており、上の動画に出てこない新機能が追加されたりもしてきているので、機能アップデートをまとめる記事を別で作りました。合わせて参考にどうぞ。
適当に弾いたフレーズ/和音が、何のスケール/コードなのか教えてくれる
個人的に一番助かっている機能がコレです。
導入でも書いた通り、ギターやピアノを適当に鳴らしているとなんかいい感じのフレーズや和音を偶然見つけることがあります。当然、これを展開させて曲にしたい! となるのですが、続く展開がどうも上手く見つからず、「思いついたら形にしよう」とお蔵入りにするのが常でした。
しかしScalerを導入したことでこの状況は一変します。なんとこのプラグイン、弾いたフレーズや和音が「音楽理論上何の音なのか」を表示してくれる機能があるのです。
弾いた和音のコード名と構成音がリアルタイムに表示されています。
また、フレーズは「Start」を押してから弾くと入力され、構成音から使っているスケールの候補が下に表示されます。
コードに関しては同様の機能が「Domino」にもありましたが、フレーズが属するスケールまで分析してくれる機能にはさすがにたまげました。
スケールなりコードが分かってしまえば使えるコード進行や音が絞られるため、展開がぐっと考えやすくなります。
特に僕みたいなギター弾きにとっては思いついたリフから曲が作りやすくなるので、かなり重宝しています。
また、この機能は既存曲のアナライズ(分析)にも一役買います。
例えば、好きなあの曲のイントロのリフが何のスケールで弾かれているのかを知りたいとして、耳コピしてピアノロールに打ち込んだメロディを理論書と見比べながら特定して……なんて考えただけで眠気を誘いますね。
しかしScalerならStartボタンを押し、メロディを鍵盤で弾いたらスケールの候補が(しかも複数)表示されてしまうのです。意外なコードとスケールの組み合わせが判明したりして面白いですよ。
あくまで補助ツールなので、コレ一つで全て完結は難しい
コード進行を作りやすいのは確かなのですが、Scalerが提案してくれるのは基本的にダイアトニックコードのみなので、ノンダイアトニックを含むような複雑な進行は(コレ一本では)作れません。
また、オンコードや展開系も理解できないので、構成音から無理やり一つのコードとして解釈したものを表示してきます。
僕はkey=CでE7を押さえているつもりなのですが、A♭dim#5という地獄みたいなコードだと解釈しています。なんかちょっと可愛く思えてきました。
やはりあくまで補助ツールですので、頼り切るのではなく、場面場面で上手く使ってあげるくらいがちょうどいい付き合い方かもしれません。
最終的にはどうしても自身の判断になりますので、コード進行の勉強も並行してやっていけばより良いですね。
おわりに
一時期、綺麗なコード進行が作りたすぎてこういうコード進行補助系のツールを端から買っていた時期があるのですが、最終的にこのScalerを一番使っています。
適当に作ったコード進行に思わぬスケールが使えることが判明したり、自分の引き出し以外の視点を持つことができるのは孤独なDTMerにはありがたいものです。
「自分の出した音が理論的にどうなっているのか」は、特に初心者のうちは判断できないことが多いので、それを教えてくれるScalerは掛け値なしに画期的なプラグインだと言えるでしょう。
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